リウマチの脊椎病変

環軸椎亜脱臼
  • 横靱帯前縁と歯突起後縁が滑膜の炎症を受けて靱帯が弛緩することが一因
  • 滑膜増生や線維化によるパンヌス(腫瘤)が脊髄を圧迫することもある
  • 脊髄症状は男性でVS・LSを合併すると頻度が高くなる
  • VSによりC1が下降するにつれAASが改善しパンヌスが減少することがある。これはAASが静的状態になりC1-2の自然癒合が生じるため
前後(Atlanto Axial Subluxation: AAS)
  • 前屈位でADI2.5mm以上の場合
  • 撮像を中間位では無く前屈位にする
  • ADIが9mm以内なら脊髄圧迫症状は起こさないが, 12~15mmでは固定が必要な症状でる
  • 前後方向の亜脱臼では主にC1が前にずれるためにおこる
  • 歯突起erosion発現の前に起こる
  • AASがある場合、死亡率8倍とされる
軸椎垂直亜脱臼(Vertical Subluxation: VS)
  • Ranawat法で環椎前弓と後弓の中心を結ぶ線と軸椎椎体部の椎弓根部の中心の距離が13mm以下の場合
  • 他の撮影方法もあるが計測難しいので使わないことが多い
  • 環椎が頭蓋内に貫入して脳幹を圧迫
  • MRIは環軸椎周囲の滑膜も評価できるので使うこともある
側方亜脱臼(: LS)
  • 2mm以上の側方変位を有意とする
歯突起のerosion
  • RA全体の14~35%で生じる。隣接関節の滑膜炎による。
  • 初期の変化をレントゲンで捉えるのは難しい
  • 進行すると歯突起基部に圧痕様の欠損が生じて靱帯付着部に及ぶ
  • AASを合併する頃にはかなりの骨融解が起こる
  • 病的骨折を起こしやすくなる
軸椎下亜脱臼(SubAxial Subluxation: SAS
  • 中下位頚椎が亜脱臼して脊髄を圧迫
  • 亜脱臼は単発より多発する傾向にありstepladder, doorstepと表現される
  • 前方への亜脱臼が後方より多い
  • 中立位では正常に見えても屈曲位には不整になることが多い
棘突起のerosion
  • 隣接棘上靭帯あるいは近傍bursaeの炎症に関連している
胸腰椎圧迫骨折
すべり症
  • リウマチで生じることもある。しびれ・運動麻痺・膀胱直腸障害
その他
  • 階段状変形
 
手術適応・治療
「脊髄・馬尾神経の除圧」+「脊椎の固定」
  • 無症候性頚椎病変は適応が無いとされることが多い
  • 相対適応は下記
  • AAS:ADI>10
  • VS:歯突起が頭蓋内に貫入
  • 歯突起骨折
  • SAC<13~14