関節リウマチのレントゲン

レントゲンの条件
関節リウマチ 両手足2方向(正面・斜位
・無症状でもMTP関節に炎症がある可能性がある
 
脊椎関節炎 胸腰椎2方向・両側仙腸関節または骨盤正面
痛風 両手関節正面・両膝関節正面・骨盤正面+症状がある部位
 
読み方 A-S-B-C-D
A:アライメント
S:軟部組織
B:骨
C:軟骨
D:分布
 
A Alignment
観察のポイント
  1. MCP関節:尺側偏位や脱臼の有無
  2. DIP・PIP・IP:スワンネック変形・ボタン穴変形・母指Z字変形
  3. 手関節:偏位、CPH<0.5、手関節脱臼
  • 母指・小指は手を大きく開くとMCPで偏位して見える
  • 尺側偏位:MCP関節で中手骨頭と指関節が重なって見える
  • スワンネック変形:MCPDIP関節の屈曲とPIP関節の過伸展
  • Z字変形:母指MCP関節の屈曲とIP関節の過伸展
 
RAの手関節所見
  • Carpal height ratio
    • 炎症によりまず手根骨の関節裂隙が狭くなる
    • 手根部の最大の長さと第3中手骨長さの比が0.5以下となることで判定する
  • 舟状骨と月状骨の関節裂隙は通常、橈骨面の中心にあるが尺側偏位する
 
鑑別診断
  • MCP関節で尺側偏位を来す疾患にジャクー関節症がある
  • SLE・リウマチ熱・炎症性腸疾患や悪性腫瘍
  • 周囲の軟部組織の炎症による緩みなので用手的に整復できる
 
S Soft tissue
  1. 軟部組織腫脹
  2. 石灰化
 
  • 滑膜炎の場合は関節周囲に左右対称な軟部組織腫脹を認める
  • 結節(リウマトイド結節・痛風結節)や骨棘は左右非対称
  • 軟部組織の石灰化は強皮症や皮膚筋炎で見られる、靱帯損傷やCKDでも見られる
  • 痛風では三角靭帯に結晶の沈着が見られる
 
B Bone
観察のポイント
  1. 関節周囲の骨密度
  • 通常関節周囲では骨幹部よりも透過性が高い
  • 炎症がある場合は透過性が亢進する。
  • 変形性関節症の場合は骨硬化が目立つ
 
C cartilage
観察のポイント
  1. 関節裂隙の狭小化
  2. 骨びらん・変形
  3. 骨棘
 
  • 辺縁骨びらん:RAに特徴的 滑膜細胞が軟骨で覆われていない骨辺縁を侵食する
  • pencil-in-cap:近位の関節がペンのようにびらん、遠位の関節で骨新生を伴う
  • 関節周囲に毛羽立った骨新生:乾癬性関節炎による腱付着部炎
  • Overhanging edge:正常な骨がびらん部に覆いかぶさる、進行期の痛風
 
D Distribution
観察のポイント
  1. DIP関節に病変があるか
  2. 対称性
 
  • DIP関節の病変は主に変形性関節症と乾癬性関節炎
  • 乾癬性関節炎ではDIP優位なタイプ、RAに類似する多関節炎、少関節炎、SpAと多彩
  • RAでは通常DIP正常
 
【参考文献】
関節リウマチの診方、考え方 Ver3
リウマチ膠原病診療マニュアル