シュニッツラー症候群

シュニッツラー症候群に関する論文を読みました。一度診断してみたいですね。
 
 
特徴・疫学
  • 世界で300例程度しかない稀な疾患
  • やや男性に多い
  • 平均発症年齢は50歳程度
  • 家族歴や遺伝子異常はない
症状
  • 慢性じんま疹、そう痒感は無いことが多い
  • 発熱、骨髄炎、関節炎を合併する
  • 少数でリンパ節腫脹や肝脾腫を伴う
  • IgM-κ型を主体するM蛋白血症を伴う
診断基準
必須項目
  1. 慢性蕁麻疹
  2. モノクローナIgM/IgG 血症
補助項目
  1. 間歇的発熱
  2. 骨髄炎,骨異常
  3. 真皮内好中球浸潤(皮膚生検)
  4. 白血球や CRP の上昇
確定診断
  1. If IgM,必須項目 2 つと補助項目 2 つ.
  2. If IgG,必須項目 2 つと補助項目 3 つ
鑑別疾患
非常に多岐にわたり困難を極める
CAPSや成人Still病,SLE,蕁麻疹様血管炎等 自己免疫疾患や,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫, POEMS症候群(P:polyneuropathy/多発神経炎, O:organomegaly/臓器腫大,E:endocrinopathy/ 内 分 泌 障 害,M:M-protein/M蛋 白,S:skin changes/皮膚症状)等血液悪性腫瘍
治療
  • NSAIDs,コルヒチン,抗ヒスタミン薬等の薬剤が使用されることがあるが,多くの症例で効果は部分的である.
  • 骨痛に対してビスフォスフォネートが使用されること がある.
  • ステロイドについては高用量であれば 有効であるが,感染症を中心とした多彩な副作 用の懸念がある.
  • 最も効果が期待できる薬剤 は,アナキンラやカナキヌマブ等IL-1 の働きを 阻害する生物学的製剤で,投与24時間以内にそ の効果が認められ,最終的には寛解に至る.
  • TCZの有効性も主張されてる。
予後
概ね良好で,生存率は健常人と比較 して変わらないとされているが,一方で,長期的に観察すると,発症 10 年で 15%,15 年で約 20%の患者がマクログロブリン血症やリンパ 形質細胞性リンパ腫等のリンパ増殖性疾患を発 症するため,注意深いフォローアップが必要で ある.また治療が不十分であるとアミロイ ドーシスを引き起こし,心臓,腎臓,消化管等 に臓器合併症を引き起こす.現在のところ,IL-1 阻害薬等の生物学的製剤がリンパ増殖性疾患の 発症を防止するかについては定かでない